産後の異常

産後の鍼は世界的に有名です。当院では刺さない鍼を用いることがあります。

こんな症状でお悩みの方、お越しください。

出産後、何カ月も不正出血みたいなのが出る・・・

出産後、膀胱炎になってしまった・・・

出産後、インフルエンザかと思うくらい高熱が出た・・・

産後の異常とは

 出産後にはさまざまな異常が起きる事があります。その中でもお悩みの方が多い子宮復古不全、悪露(おろ)、産褥熱、排尿障害について説明します。

 なお、このほかに乳腺炎も発症しやすい疾患ですが、乳腺炎については、別のページにて紹介予定のため、ここでは省略します。

子宮復古不全

 出産後、子宮が元の大きさに戻ろうとすることを子宮復古といい、通常4〜6週間かけて収縮していきます。

 子宮復古不全とは、この収縮が不完全な状態を言います。そのために、異常な出血や感染症、子宮内膣癒着といった疾患の原因になってしまう症状です。

 原因としては、子宮の中に胎盤や卵膜の一部が残っている場合や、授乳できていない場合(授乳により子宮収縮を促すオキシトシンというホルモンが分泌されます)、子宮筋腫が合併している場合が考えられます。

悪露(おろ)

 悪露とは、分娩後子宮復古時に子宮内膜や子宮頸管、膣から数週間にわたって分泌される分泌液のことです。血液成分が主で最初は赤色ですが、時間の経過とともに黄色くなり、量も減ってきて、通常産後5,6週間程度でなくなります。

 悪露自体は正常な身体の反応です。ただ、人によっては、時間がたっても赤いままだったり、量が増えたり、嫌な臭いがあったり、発熱してしまったりという異常がおこることがあります。これらを悪露の異常といいます。

 原因としては、体内に悪露が停滞している場合や、子宮の収縮力不足で子宮復古が遅れている場合、子宮内に胎盤や卵膜が残ってしまっている場合、ホルモンのバランスが大きく崩れてしまっているということが考えられます。

産褥熱

 悪露の停滞によって引き起こされやすいのが、産褥熱です。

 症状としては、悪露の異常と同時に38度以上の熱が出ます。昔は、母体の生命にも危険が及ぶ病気でしたが、現在では、分娩時の十分な注意により未然に防げたり、抗生物質により対処できます。

 原因としては、体内に悪露が停滞することで、衛生的に細菌が繁殖するのに都合のいい環境となってしまうことにあります。産後は、子宮や膣、外陰部などさまざまなところに傷が沢山あるため、細菌感染しやすい状態なのです。

排尿障害

 分娩後は生理的に排尿しにくい状態が数日続くことがあります。

 また、外陰部が悪露で汚れやすいことで、細菌が侵入し膀胱炎や腎盂炎も起こしやすい状態です。これらにより頻尿になったり、排尿時の痛みが発症することがあります。また、腎盂炎の場合は40度を超えるような高熱が出る事もあり、注意が必要です。

東洋医学ではどう考えて治療するの?

子宮復古不全

 東洋医学で考える子宮復古不全とは、子宮内壁や子宮筋自体に血(脈管外に浸出した血液の塊)が停滞し、子宮の収縮が正常にできない状態になっていることがまず考えられます。

 次に考えられることは、出産時における出血の過多や、もともと胃腸が弱く気力が少ないために、筋肉の回復が遅れてしまっていることです。そのために、子宮の戻りが遅くなってしまい、収縮が不完全な状態となってしまいます。

 西洋医学的な原因である、子宮中に胎盤・卵膜の残存や、授乳できていない場合の子宮筋腫合併も上記の結果と考えるので、その根本的なところから治療をしていきます。

産褥熱

 産褥熱の原因は、悪露の停滞+イライラや激しい怒りなどによる肝気の熱+食べ過ぎや脂濃いものを過食することによる胃の熱です。

 悪露の停滞は、東洋医学的に考えると、なぜ停滞しない人もいるかということを考えるとわかりやすいです。悪露の停滞が起こりやすい人は、特にソケイ部(大腿部の前部の付け根あたり)にツマリが起きやすいかで決まってきます。開脚してのストレッチが異常に固い方は要注意です。

 イライラや激しい怒りというのは、むしろ熱を発散したい時に感じる感情で、元気がありあまったり、栄養過多になっているのかもしれません。子供のためと思い、過度に食事を取ることを避けた方がいいでしょう。

 抗生物質は、生命の危険が及ぶ時以外は避けた方が良いと思います。鍼灸では、清熱解毒法といい、緊急に熱を冷ます治療を行うことで、熱を下げることができます。

排尿障害

 尿漏れや頻尿などといった排尿障害を起こす方は意外に多く、出産後の骨盤周囲の筋肉の戻りが悪い為に起こります。悪露の停滞や血虚などといった子宮内部の状態を回復することが大切です。鍼灸治療は、子宮の戻りを早くし、身体全体の血虚を回復し、血や気滞を取り除きます。

 膀胱炎や腎盂炎という症状の原因は、外部からの細菌だけではありません。子宮も含めて身体全体の弱りが影響していますので、単純に抗生物質を使っても治りません。むしろ、身体が弱っている場合だと、治らずこじらせ、時間がかかってしまうことがあります。

 発熱する場合ですが、発熱を起こす段階というのは、細菌が体内に侵入して体内の抵抗力と戦っている状態ですから、その前に治療をすれば細菌が体内に入らないようにすることで発熱を防げます。日頃に鍼灸治療を受けている人は、発熱をすることでじょじょに体力を回復する方もいます。抵抗力が強くなっている場合は、短い期間の発熱で済むので体力を消耗しなくても済み、すぐに元気になります。鍼灸治療により、一時的に弱った体力をアップさせて細菌に対する抵抗力を高め、外へ排泄させる手助けをすることが一番の近道だと思います。

どうやって治療するの?

 当院は、鍼灸専門治療院です。その他の手技や整体・マッサージなどは行わず鍼と灸だけで治療して行きます。

産後は特に、身体が不安定になっているので刺さない鍼というものをすることがあります。お腹の周囲にトントンと当てるだけの鍼や、手足のツボに金の鍼を当てるようなものです。それだけで全身にじっくりと効いてくる感じが響きます。

鍼って痛いんですよね・・・怖いです・・・

 鍼は一般の鍼灸院で用いる鍼管を全く用いないのでチクリともせず、患部に非常にソフトに刺入することを可能にしました。これにより、3〜5歳くらいの痛みに敏感なお子様でも安心して鍼を受けることができます。

 鍼管を使うと、「チクチクして不快な感じがする」と鍼の苦手な方は敬遠されることが多く、また、鍼と皮膚の接触の微妙ななじませ合いが出来ずに治療もうまくいかない最大の原因が生じるので当院では開業時から使用していません。

 なお、当院ではすべてディスポーザブル(使い捨て)の鍼を使用しています。

たくさん鍼を打たれるんじゃないかと不安です・・・

 一般の鍼灸院では、確かにやたらと鍼をうちますね。全身療法だと言って身体全身に打つことを良かれとしていますが、

 当院では全く異なる考えで治療をしていますので、鍼は基本1か所です。多くて2か所。急性の病や熱発していて身体が元気な場合には、その場合だけ5〜6か所に治療する場合もあります。

お灸は熱そうだし痕になりそうで・・・

 灸は、一般の治療院では灸点紙というものや、温灸を使って治療するところが多いのですが、治療効果はやはり直接施灸する場合にかなり劣ります。

 それでも良ければ、温灸による施灸も選択肢としてありますが、ご自分で施灸する場合にはお勧めしますが、当院での治療は基本的に直接灸です。

 ただし、米粒の半分の大きさでチクっとするくらいの刺激です。一瞬で終わりますので安心です。痕がやや残ることはありますのですが、ほとんど足か腰部の目立たないところなのです。

 温灸か直接灸かは相談の上となります。

治療費(消費税別)

 初診時には初診料4,000円が別途かかります。 

 高校生以上  6,000円

 乳幼児    3,000円