首から顔にかけて乾燥性の痒みを伴うアトピー性皮膚炎

初診日 平成27年1月7日
患者 女性 30歳 160cm 55kg
主訴

・アトピー性皮膚炎

・乾燥すると痒みがでる

・顔の赤味

病歴

出生時よりアトピー性皮膚炎だった。膝裏、肘、目の周囲がよく乾燥して痒かった。

幼稚園のときにリンデロン、ステロイドを塗っていた。

高校時にはプロトビック(非ステロイド系)を使っていた。

大学時代に症状は季節の変わり目に(特に秋)出るくらいになっていた。

社会人になり視力が2.0から0.3に低下した。一年前からは眼精疲労で頭痛が起こっている。

3ヶ月前にレーザー脱毛をしてからアトピーが強く出てきた。

診断 出生時よりアトピー性皮膚炎ということで、胎児期に比較的浅い内臓である心や肺に熱がこもっていると考えられる。幼稚園の時には、発散すべきところを、ステロイド軟膏を塗っていたので、熱が発散されずにこもってしまった。目を酷使しだす時期になり肝気の停滞がきつくなり、発散が出来ない状態が続いていた。その上に皮膚に刺激の強いレーザーがあたり、一気に中にこもった熱が解放されて皮膚炎となった。
治療 1回の治療で1〜2個の少数のツボ(霊台、至陽、神道、百会、霊道、、十井穴、臨泣など)を適宜選び、1回の治療で1〜3個の少数のツボを適宜選び刺針した。
経過

初診1月7日 顔〜首中心のアトピー性皮膚炎、皮膚が乾燥して痒みがでる

2診目1月9日 治療後に痒みが強くなる。翌日にはマシになる。

3診目1月10日 顔がひきつる。顔が熱くなる。

6診目1月19日 夜中の痒みがマシになる。夜寝る前には痒みがあって寝にくかった。

11診目1月28日 赤味が部分的なってきた。起きている間は痒みがマシになる。

16診目2月11日 前日にチョコを食べ過ぎて痒みが出る。それ以、痒みは落ち着く

現在の状態 1週間おき、2週間おき、1か月おきと徐々に治療間隔を開けていき、1年と3か月経った現在では、2か月おきに治療をして良好な状態である。

院長のコメント

 アトピー性皮膚炎は、要するに定型の皮膚炎と異なる原因不明の皮膚炎ということです。身体の中にこもった熱が行き場がなくて皮膚に出てくるものが皮膚炎で、その原因がわからないものをアトピーという名前で呼びます。

 東洋医学的には、その原因をストレスによる肝火という熱、しつこい食事の食べ過ぎによる湿熱、血液の滞りによる血、それらを結び付ける気滞と呼ぶもので構成されているとし、肝臓と脾臓の働きの停滞が原因としています。

この症例の方の場合、チョコレートが結構好きで、良く食べていてるのですが、チョコレートや、コーヒー、紅茶などのカフェイン系が多く、作用的にのぼせやすいものは、身体の上半身である肺に気が停滞しやすくなります。

また、良くアトピーに使われるステロイドホルモンは、身体にもともとあるホルモンですが、危急の時にしか、効き目を発揮しない、言わば火事場のバカ力的な威力があり、熱を封じ込める作用が強いのです。

この方の場合のように、レーザー光線などで、身体の表面に熱を当て、中にこもっていた状態から表面に出てきた時に、一気に出てきやすくなっているのです。

治療としては、きっちりと出し切ることが第一です。出し切ってしまえば、二度と再発することはありません。