心臓血管リスクが高くなるほど認知機能が低下
心臓血管リスクが認知機能や脳の構造の変化に及ぼす影響については明らかにされていない。
本研究では、心臓血管リスクのスコアと認知機能の低下および脳の構造の変化に関連がみられるかを検討した。
認知症のない1,588例(平均年齢79.5歳)を対象に、試験開始時の心臓血管リスクをスコア化して三分位群に分類し、21年間追跡した。
結果、スコアの最低三分位群の者と比べ、最高三分位群の者では全般的な認知機能の低下が速く、エピソード記憶の低下や作業記憶の低下、認知速度の低下も認められた。
脳のMRI検査を受けたサブサンプル378例のデータからは、心臓血管リスクのスコアの上昇と海馬の縮小、灰白質の縮小、全脳容積の縮小、白質信号域の拡大との関連が認められた。
したがって、心臓血管リスクが高いと全般的に認知機能が低下し、脳の神経変性も生じやすくなることが示唆された。