「人間の体は本来完全な一個の世界であり、
調和のとれた世界である」
一方、東洋医学は、人間の体を「本来完全な一個の世界であり、調和のとれた世界である」と考える。これは万物みな同じで、自然の調和の中に人間も当然含 まれている。
この調和をバランスと置き換えれば分かりやすい。バランスのとれた状態こそ健康であり、病気とはバランスが乱れたものである。この乱れた状態 を元に戻すことが東洋医学の治療の基本である。
また、生気論「体を部分に分けず、統一体として生命をみる」という考えにより、病める部分だけを診るのでは なく、体全体、さらに精神状態や生活環境までトータルで診ている。
その為、現代西洋医学では病気とみなさないような軽微な段階のうちに治療を開始する事が 出来る(これを未病治という)。
こうした特徴は、急性・慢性的な疾患、病気の予防、初期治療にも有効であることを意味している。さらに、現代西洋医学では 難病とされている疾患でも、現代西洋医学と疾病観の違う東洋医学では、効果的な治療を期待できることもある。
「西洋と東洋の良い所を組みわせて治療していければいいというのは不可能」
現代西洋医学と東洋医学は、歴史、文化、哲学、思想、疾病観、人間の観かたなど、明らかに異なっている。「西洋と東洋の良い所を組みわせて治療していけ ればいい」といわれているが、実際には難しく、現在の状況は不可能に近い。
現代西洋医学と東洋医学には患者の治療という目標は同じでも、そこまでに至る過 程がまったく違う。針や灸を、東洋医学を理解せずに、安易に西洋医学の診断で施術すれば、患者に損害を与えてしまう事も珍しくない。
現代西洋医学を東洋医 学の理解した医者の方は、自らに用いず漢方薬や鍼灸治療をされる方が多い。また、東洋医学に詳しくない医者すら、患者に出す薬を自らが病気になった時には、その病気に関して専門であればあるほど飲まない。
これはまさに東洋医学がまさに人間そのものを診る医学であることを示すものではないだろうか?