アレルギー性皮膚炎とアレルギー鼻炎の症例
初診日 | 平成24年11月9日 |
患者 |
男性 12歳 154cm 40kg 中学生 |
主訴 |
アレルギー性皮膚炎(乾燥する) アレルギー性鼻炎(鼻閉) 便秘 |
病歴 |
生後半年から便秘があった。 2歳から皮膚の乾燥による痒みが出てきた。下肢から陰部を中心に痒くなる。 4歳から鼻炎になり病院にいく 小学校1年生からアレルギー性鼻炎による鼻閉が出てきて、病院で内服薬を処方してもらっていた。 小学校3年生から鼻たけ(鼻ポリープ)がでてきた。 小学校4年生からステロイド内服薬を服用し始めた。 小学校5年生からステロイドの副作用が恐くなり、服用を中止した。以降は痒みがきつくなったときだけステロイドをつけるようになる。 小学校6年生のときに鼻血が頻繁に出るようになったのでレーザー治療をした。鼻血は治まるが、アレルギー性鼻炎は治まらなかった。 現在ではアレルギー性皮膚炎の痒みが頭まででるようになる。風邪をひきやすい。 |
診断 |
元々肺気が停滞しやすい状態になっており、ストレスを感じても肺気に影響を受けやすかった。その結果鼻周囲の気の停滞が慢性的になって鼻炎を発症したものと考えた。治療方針としては、肺気の停滞を促し、慢性となって熱化している鼻周囲の熱を冷ますことを第一目的とした。 |
治療 | 一回の治療で1〜3個の少数のツボ(百会、霊台、内関、至陽、神道、上廉、臨泣)を適宜選んで刺針した。 |
経過 |
初診11月9日 下半身中心の痒みがある。慢性鼻炎による鼻閉がある。 2診目11月12日 鼻閉は右のほうが強い。黄色いはなが出る。 3診目11月17日 鼻閉が右から左のほうに移動する。痒みは頭に強くでている。 6診目11月26日 腰から下半身にかけての痒みが強く出る。鼻閉は交互にでる。 7診目11月30日 数ヶ月前から右耳の裏にコブがでてくる。耳たぶがかゆい(右>左) 13診目12月21日 頭の痒みはあるが、痒くないときが多くなる。痒くなるときは、突然痒くなり4〜5分続く。 14診目12月24日 塗り薬を止めているので痒みが出てくる。下痢をしたり、細長い便が大量に出た。 16診目1月4日 頭の痒みが強くなる。便は二日に一回出ている。 20診目1月21日 頭の痒みはあるが、下肢の痒みがなくなる。 21診目1月28日 鼻閉が以前よりマシになる。前よりよく眠れるようになる。 26診目3月4日 鼻閉と鼻汁がマシになる。頭の痒みがマシになるが、他の部分があちこち痒い。 29診目3月29日 頭の痒みが2〜3日前からきつくなる。特に頭の前側が痒い。 31診目4月20日 頭の痒みが10→7になる。(初診時を10とした場合) |
現在の状態 | 初診時と比べて、鼻血がよく出ていたが、出なくなった。鼻炎の状態が10→1くらいになった。痒みは頭などはまだあるが、全体として半分以下に減る。初診時は緊張して治療中起きていて、リラックスできなかったが治療中もぐっすりとよく寝れるようになり、リラックス度が高く気持ちが良い状態が続いている。月に一回程度メンテナンスに通われている。 |
院長からのコメント
この方のように、小さい時から便秘症で、肌に異常が現れる方はけっこう多いと思います。原因は多くは、肺気の停滞によるものが多く、風邪を引きやすい・肩甲骨辺りのコリ感が強いといった自覚症状があります。
なぜ肺気が停滞するかというと、この方の場合は遺伝的な要素が強く、お母様も全く同様の状況が見受けられました。
肺は五臓でいうと、一番上に位置しています。人間を急須に例えると蓋のように蒸気を下に返す働きをするのが肺の役目です。人間の場合は、蒸気ではなく循環しているエネルギーである気です。
この方のように肺気が停滞しやすい場合、ストレスを受けると、身体の上部の皮膚や鼻といった場所に気が停滞し、鼻炎や痒みといった症状を発症しやすくなります。
なので、肺気を巡らす治療を続けることで、身体の上下のバランスがとれてきて全身の症状が楽になっていきます。